2015-11-26





開催中の冬隣展より。

富樫さんの織る布は、色の組み合わせや模様で
まず目を楽しませてくれるものが多いのですが、
その中だからこそ、目を惹くこの白いマフラー。

白だけで織る時には特別な緊張感が走ります。
と、富樫さんが仰っていたことがあります。
確かに、紡ぎ糸の均一さ、織り方、すべての工程において、
手の跡が残るわけで、それは、隠すことのできないそのままの状態。
その分、羊毛らしさは、存分に伝わる直球です。
こちらの緯糸には、カバード・ウールが使用されています。
写真では分かり難いのですが、きらっと光る瞬間があって、
その度に模様がうっすらと浮かびあがります。
冬隣では紅一点の輝きを放っている白です。

私なんぞが巻くと、なんというか、七五三のようになってしまって、
全く中身が追い付いていないのですが、
先日、ぴったりとお似合いのお客さまが選んでくださいました。
こうして毎日見守っていますが、
出会うべくして、出会うタイミングというのは、
まっすぐな線はまっすぐに、
ねじれていても、そのねじれが一瞬で解かれるくらいの強い引力で、
静かに引き合っているように思います。

最近では、すすきを見ても、雲をみても、
羊のふわふわっとした毛並みを思い出してしまいます。
富樫さんの冬隣も、いよいよ29日までとなりました。
お近くにお越しの際はお立ち寄りください。